孤独であろうとも、それは意味が知らなければ、孤独とは言えぬ

おまえがいなければ、孤独の意味さえも知らずにいただろう


孤独は命に代えがたいものを失った時に知る。

嗚呼

孤独はそれほどに残酷なものか

おまえは問うてくれた

おまえは地の下で眠り続けている

 わたしもおまえの後にもうすぐ逝くだろう

おまえのいない世界は孤独で寂しい


迎えておくれ


愛しき者よ


ネウロと弥子とその周りの者の織り成す想いと願い
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意味を知るには遅すぎて【孤独というものを】




鋭い手は自分の正体の証

嗚呼

何て皮肉なのでしょう

己の手を見ることで実感してしまう

”我が輩は…”

冷たさを手でかみしめながら

嘆いた





いつも私に絡む足

まるで離すまいとしているように

何かに絡んでいるの?

どこにも行かないのに

ねぇ、あなたはどんな想いで

足を絡めるのですか

嗚呼

足を絡めるのならば、

想いを絡めて欲しいのです…



肌(ネウロ・弥子・サイ)

君、本当に柔らかいね

喘ぐ声も可愛いのに

ねぇ…それでもあいつがいいのかい?

でも、俺は君を愛しているんだよ。いくら殺人鬼でも

元は人間で―…人間の欲にもあるんだよ

肉欲。

嗚呼、殺人鬼でも抗えぬ欲。

嗚呼、君の喘ぐ嬌声。

君の身体を俺のモノにしちゃえばいいのに?

俺のモノ?否

そんなことをしたら…君は泣くかもしれないから…

だって、俺も人間なんだからね…

泣く姿は見たくないから…せめて

これは…一時の夢だから

もう一度…君の肌の感触を感じさせて欲しいんだ




ねぇ…弥子。愛しているよ




私のこの身体にはたった愛しいヒトにしか預けられない

肌を触れていいのは…愛しいヒトにだけ…

だけど…貴方は何故…そんなに辛い顔をするのですか?

いつも余裕のあった笑みを浮かべる貴方が

そんなに辛い顔をするのですか?
その手で私の肌を触れるのですか?

でも、貴方は今までの貴方ではない
謎以外に求めるものなんて無かったはずなのに


嗚呼…分かりません、あのヒトの行動がわからないのです

私は単に愛しい者にしか預けられない肌。

あのヒトには関係ないはずなのに…

はずなのに――


どうしてもこうも涙が出るのでしょう?

ねぇ…ネウロ…貴方は何故…辛い顔をして…私の肌に触れるのですか?



我輩は誓った。
貴様の肌には興味無いのこと。それは誓いしても己の為の懇願故か――?

他の輩に肌を合わせるなどと…どうしても身体を拒みきれぬ


”ソノママ…他ノ男に抱カレテモイイノカ?”

あの白い肌を?

華奢な身体を?

笑顔を?



我輩の名を呼ぶ声を?


そのまま、渡しても良いと?
否、渡さぬ…我輩がいる限りは
否、我輩がいても何になろうか?

貴様は我輩のモノでもあり、我輩のモノでもないのだ

嗚呼、何て皮肉でしょう
モノになり得るもモノになり得ぬということも…

ならば…

貴様の心に我輩の存在を忘れぬよう…

強く

強く

心に焼き付ければ良いものを…



人は肌を感じあい、存在を確かめあうと人は問うた。

では、この三人にしてみれば肌を感じるには何やろうか…?

あさましや


あさましや…







人間はソレから生まれたのだろう?

何故華奢な身体に生命が生まれるのだ?

…蜻蛉のように死ぬ人間もいるのだろう

華奢な身体のくせにソレは腹立たしいものだろう

生命を育む代わりに己の生命を引き換えとする器なのだろうに

嗚呼

腹は醜い代わりに温もりはある

嗚呼

我が輩はこのように生まれてきたのだろうか?


…生きる謎は人間しか分からぬ

ならば、貴様が答えてくれるだろう?





ぺらりとぺらりと

己の望むが侭に捲る

あるが侭に曝け出す紙

しかし、貴様の事となると己の望むが侭にさせてくれぬ

我が輩に曝け出せてくれぬ

今は我が輩の”モノ”ではない

乱れる様を見せて欲しいのだ

今、我が輩から見ている本のように


いつか



いつか、貴様を我が輩のモノにしてやると



輩にも見せたことの無い貴様を曝け出す事が我が輩の望み。





あなたは何をしているのですか?

私は此処にいないのに

何故、あなたは私に何をしているのですか?
屍の私の服を脱いでどうするのです?

もう抱きしめてあげれる事は出来ないってことを
あなたには分かっているはずでしょう

…抱きしめたかった

あなたの腕の中で温もりを感じていたかった
いつもすれ違いだったあなたと私



嗚呼

酷い神様です

この時になって身の程を知らされるのです

嗚呼

今、何も出来ない私を…そして神様を憎んでいます



またもぷちりと音が繰り返される
私はいつものようにあなたの後ろで泣いています

服に何の意味があるのですか?
その言葉をあなたに問いたい…


そうしたら…あなたは子供のような顔で答えるだろうか?


「馬鹿者。はしたないだろう?」







我が輩はこの一時を悦んでいる

モノは己の中で呼吸をしている

呼吸をしている

息をしている

奇怪なモノではあるけれど

愛しい存在が

此処にあるのだという事を実感させるのだから


嗚呼
人間というモノは儚くも愛しいものだと


祈り


お父さん

 今日はお父さんが死んだ…いいえ

 いいえ

 正確には殺された日

 その日の夜はとても辛い。甘い夢を見させる暇を与えずに…

 あなたは、いつも小さい頃の私と遊んだりしてくれた

 そして、今の私をからかったりしてた。

 でも、今は二人だけ

 二人になってしまった…


お父さん、教えて頂戴










あなたは幸せだった?










”貴様、何を泣いている”

泣いている?いいえ…泣くどころか

”鳴いているだけ”


 あの人の場所に届くように せめてあの人が一人にならないように
 今夜は鳴く

”鳴いている?豆腐なんぞ鳥になれるものか”

”…貴方が代わりに?”

”それはあの人間のためか?貴様は我が輩だけに気をかけていれば良い。その貴様の顔を見れるのはこの我が輩だけだ。”

それは出来ない…

 でも

”私がいなくなっても貴方は生きているでしょう?
 ずっとは続かないのだから…あの人のように私も同じ。”

”貴様が死のうとも貴様は我が輩のもの。幾度離さぬと言っているだろう”

 嗚呼、お父さん…。
 ねぇ、私…此処に残りたいと願うほどの相手が出来たわ。
 でも、あなたの元に一緒には連れてあげれないけれど…
 いつか、話すよ。ネウロ――貴方の事を…


”じゃあ…黄泉に連れて行かれないようにずっと此処に留まらせていてね”

”無論だ”

 …でも、此処から離れるとき…貴方は



 私の為に鳴いてくれるでしょうか


 ネウロ
 いなくなるまでずっと





 貴方の為に鳴くよ
 黄泉に届く声を…そして


 神ですらも叶えてくれはしない祈りを





仮面は何も私に言ってはくれない

お願い

私に話して欲しいの

だから消えてしまわないで

お願い

一言だけ言わせて

『終わったらどうするつもりなのですか?』

と。

そんな言葉を顔に見合わせて言えるのだろうか?
嗚呼
言えないのも皮肉…

私もあなたも

顔に仮面をお互いに被っている

…嗚呼…嗚呼

顔を見れられやしない…




言霊



言霊


言葉の力


我が輩は迷信など興味無い


ただ…迷信ではなく、確実であるような言霊

言葉の力は強く…そして脆く切ないモノ

”ネウロ”


嗚呼、愛しい者から放つ言霊はとても

厄介であり、我が輩の決心を鈍らせる

此処の謎を全て食い尽くし、魔界に戻る決心…

なのに、我が輩はいつの間にかすぐには食い尽くさなかった

―囚われていたのだ、その言霊に

愛しい者の無垢な言霊に―

”…ネウロ”


言霊の力は他愛ない言葉であり

想いの言葉もある…

貴様は我が輩の道具なのだ

なのに

何故、我が輩に相変わらずの言葉を向けるのだ?

我が輩を縛ったくせに貴様は何も知らない…

豆腐め

言霊の力があるのならば、その迷信に乗ってみせようではないか

其の言霊で



どんな時でも我が輩の傍にいろ




言の葉


貴方は謎を食いつくして、貴方の故郷に帰るのでしょう?


人間とは相容れることの無い貴方の故郷


私はただ…ネウロの目的を果たすのを手伝うだけ


ネウロには?


いいえ


そんな感情は無いもの あったら…あなたはどうしますか?


足止めに?


私だったら、止めないわ


何故なら、あの感情が露にならない内にすれば済むことだもの


貴方の名を発する言葉は…感情には込めてなんか無いから


だから


早く 早く


今のうちに


今のうちに――




あの感情が深くなってしまううちに



「ネウロ…」


「謎を早く食い尽くしたいんでしょう?」


「だったらしちゃえばいいのに」



此処の謎を食い尽くして 此処から消えてください…


これが、貴方に言う”言葉”



でも、一回だけ言わせて頂戴?





――貴方を愛しています――…




言の葉U



我が輩は、あの言葉を言わない


愛しい者は無垢に我が輩の名を呼ぶ
貴様は我が輩の道具でもあり、感情なんぞ無い方が良かったのだ
なら


なら何故


我が輩は、貴様をそういう風にしなかった?


そのままの貴様が良いから?
いつも否応無く誰にでも微笑む貴様が良いと?


嗚呼、また我が輩の名を呼ぶ
此処の謎を食い尽くすのにこんなにも戸惑っている?


”謎を早く食い尽くしたいんでしょう?”


早く…それは分かっている…
食い尽くしたら、人の姿も無い星となるだろう

人の姿があとかけらも無い…?
貴様の姿がいない…
いつも我が輩の傍にいる貴様がいない――?
我が輩の名を呼ぶ声は無い…



あっという間にそのまま終ったとしたら?



ふざけるな
「貴様は我が輩の傍にいれば良い」
”限り少ない寿命で生きる人間なのに?”
  
貴様は我が輩を置いて行くだろう


我が輩の知らぬ間に幸せになるのだろう


言霊があれば…貴様と傍にいれるだろうか?
貴様を独占できるだろうか?

いや、それは叶わぬ事


秘めた想いを持ってしても伝えきれんだろう


貴様には貴様の笑う顔が見ていたいのだ




ヤコよ、我が輩からの言霊…



―――貴様を愛している…だから、いつまでも傍に――



――生死の分かつその時でも――








貴様は空の様に掴めぬ存在

己の鎖を持ってしても

捕らえる事は出来ないのだ

もし、空をも掴める鎖が手に入れたならば


その時は



二度と離さぬだろう




愛しているからこそ鎖はあるのだ

鎖は繋ぎとめるもの…しかし、我が輩は

束縛としか意味を成さないのだ






我が輩は風邪など引かぬと思っていた

ああ、喉が痛い

あいつもそんな風になっていたのか
知らなかった
我が輩が無理矢理させてしまったのだ

風邪を引く時に人肌が恋しくなると誰かが言っていたが…
我が輩はその理屈に甘えよう
何、誰も知らぬ我が輩の顔を知って欲しいのは貴様だけなのだ

貴様は我が輩が魔人だと知ってるのかそれとも忘れてるやもしれないだろう
慌てているのか
豆腐め


…人肌が恋しくなるのなら
薬は人肌なのだろうか

貴様の人肌が恋しいのだ
何を笑う?
…移っても知らんぞ…

…――やはり、貴様は温かい
貴様の身体を今すぐにでも抱きたい



嗚呼、人肌は薬でもあり…媚薬に近い”薬”…

薬が無いとヒトは眠れぬも安心できぬ







背中

あなたの背中は何故か儚かった

いつもどこかに行ってしまいそうで

ならない

嗚呼

どうしても背中に触れたいはずなのに

拒む

どうして?

どうして?

それはあなたが私達と違う存在

私が触れるべきじゃない存在

でも

触れたい

嗚呼

何て貪欲なのでしょう

触れぬ存在だと分かっても…



そうして、あなたの背中を見ているのです

触れたいと叫んでいるのです

嗚呼

今も…私の弱い意思を恨んでいます…




助けて


あなたは此処にいるはずのない存在

あなたに出会ってから…
狂わされてしまったのだろうか

嗚呼
想いを寄せてしまう私が

なんて恋は残酷なのでしょう

なんて運命は残酷なのでしょう


好きにならなければよかったのに

好き?

いいえ

愛してるの


だから
せめて…今は
外に駆け込むあなたの背中を見ていたいから…

嗚呼
どうか

狂ってしまう私を助けてください…



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